最高裁判所第二小法廷 昭和38年(オ)426号 判決 1965年12月03日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告指定代理人山田二郎、同去来川重二の上告理由について。
原判決(第一審判決理由引用)が確定した事実関係ならびにその挙示の証拠関係のもとにおいては、大蔵事務官玉田正雄の過失と三幸丸の類焼による被害との間に所論相当因果関係があるものとし、かつ、被上告人側に所論過失があるものと認めなかつた原判決の判断は、いずれも、正当として是認すべきであり、また、右三幸丸が右のような災害を受けた当時、同船は差押中であつたというのであるから、被上告人において同船を自由に改修できるのは早くともその還付以後でなければならず、その還付後の改修費が被害を受けた当時の見積額より増加したのは自然騰貴によるものであることが認められる以上、上告人に右増加による損害賠償の支払を命じた原判決は首肯しうるものである。論旨は、独自の法律的見解に立脚して原判決の判断を非難するにすぎず、援用の各判例も本件と事案を異にし適切でない。論旨は、採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)
《当事者》
上告人 国
右代表者法務大臣 石井光次郎
右指定代理人 山田二郎 同 去来川重二
被上告人 寺田菊造
右訴訟代理人弁護士 銀島美智子